ストラーダ's blog

とある大学で史学を専攻しています。主に西洋美術、近現代史(フランス)、世界遺産、脳科学のアウトプットをします。

人の不幸は蜜の味

 

 

皆さんはシャーデンフロイデという言葉を聞いたことがあるでしょうか。

 

これはドイツ語で「シャーデン」は「害」を意味し、「フロイデ」は「喜び」を意味します。この二つの単語を組み合わせて「シャーデンフロイデ

他人の不幸から生じる喜びを表しています。

 

 シャーデンフロイデは残念ながらあなたも私もみんなが経験するものです。

例えば、いけ好かない人物が政治家としてどんどん上に登っていき、終いには大統領になったとしましょう。そのときに私たちは少なくとも羨望や劣等感等を感じることがあります。

しかし、その人物が何らかの形で失敗して大統領の座が下ろされた場合、羨望や劣等感の代わりに喜びや優越感を経験するというのがシャーデンフロイデです。

認めたくないけれども誰かの不幸で得するからこそシャーデンフロイデと呼ばれる所以です。

 

シャーデンフロイデを経験する理由 

では何故、私たちはシャーデンフロイデを感じるのでしょうか。

それは脳のある部位が関係しているようです、人々が妬みを感じる際には脳活動が一貫したパターンを示すといいます。

妬んだ相手を目の当たりにすると、脳の皮質下にあってアーモンド型の構造を持ち情動記憶の形成、特に恐怖のような情動によって重要である扁桃体が活発になる。

また、前帯状皮質(ACC)や内側前頭前皮質(mpFC)が同様に関係してくるが、要は脳の報酬系ドーパミン等を分泌し麻薬やセックスと同じくらいの快感を得るのである。

 

誹謗中傷が起こる理由

私の見解では主に自分に自信がなく常に劣等感を感じている人間が誹謗中傷を起こす傾向があると見ています。

ある実験でパーソナリティが低い人とその逆であるパーソナリティが高い人を識別することができました。

結論から言いますと、パーソナリティが低い人は自分が他の人より優れていると思いたいのであり、スポーツファンが応援する相手が誰であれその相手は自分の代理になる。

その相手が勝利すると自分が勝利したのも同然になる。

よくスポーツファンが応援しているチームが勝利したとき「俺たちが一番だ!」と集団で人差し指を天にあげて歓声をあげているところを見たことがないでしょうか。

 

アリゾナ州立大学での実験

アリゾナ州立大学の学生に電話をかけ、大学のフットボールチームが数週間前に行った試合の結果を尋ねてみたものです。

何人かの学生には、チームが勝った試合の結果について聞き、別の学生にはチームが負けた試合の結果について聞きました。話の内容を聞き取って、その答えの中で「われわれは」という言葉を使った学生の割合を記録しました。

 

結果、「われわれはヒューストンに17対10で勝った」「われわれは勝った」というように。学生たちはチームの勝利を自分自身と成功を結びつけていた。

 

一方、試合に負けた場合には、「われわれは」という言葉がほとんど使われず「彼らは負けた」「アリゾナ州立大学は負けた」と自分と彼らを明確に切り離しました。

 

つまり、「われわれ、アリゾナ州立大学は力及ばず負けてしまった」と自分と切り離さない(裏切らない)人はパーソナリティが高いと言えるでしょう。

 

熱烈なスポーツファンは心の深層に、自分には価値が低い人間だという気持ちがあるため、自分自身の業績をあげて名声を得るのではなく、他者の業績との結びつきを形成し、それを強めることで名声を得ようとするのです。

 

つまり、自分の周りにいる知り合いや友達にアリゾナ州立大学と同じ実験をしてみるとパーソナリティが高いか否かわかるかもしれませんね。

 

ここまで読んでくれた方はもうすでにお分かりかもしれませんが、誹謗中傷が起こるのはパーソナリティに欠陥があり自分に自信がない人が正義を遂行するときです。

彼らの正義とは著名人や有名人が犯した小さな過ちを徹底的に制裁することで称賛を得ます。この称賛は自分より格が上の彼らの苦しむ姿を見て計り切れない快感を得る。この快感は麻薬やセックスと同等またはそれらさえを凌ぐと言われています。

また根拠のないことを言いふらすして、他人を傷つけるのも同じ理由からです。

 

最後に

シャーデンフロイデは我々、全員が経験する感情なので落ち込む必要はないです。

ですが、シャーデンフロイデを自ら求めて誹謗中傷をしている人は少なくないので気を付けたいところです。

もしあなたが誹謗中傷の被害に遭った場合は、無視して考えないことです。

私たちは常にフィルターを通して相手の言葉を理解していますが、頭がいっぱいの人は単純な悪口でさえもフィルターを通さず、真に受けて心が病んでしまうことも多々あります。

その場合は遠慮なんかせずに信頼できる人に相談しましょう。

 

参考文献